2017年4月7日金曜日

五色ケ原から薬師岳縦走ものがたり


 これは2016年7月に富山県にある立山連峰の縦走路の一部である五色ケ原から薬師岳へと縦走した記録である。

2016年7月21日(木)

 富山市内から見ると山の方は曇っていて山の姿は見えないが週末まで晴れ予報がでたので五色ケ原―薬師岳縦走を決心する。立山駅の駐車場は先週7月10日の山の会で来た時と同じくらいで第一駐車場でも若干の空きがあった。午前7時10分の立山駅発の臨時ケーブル便に乗る。高原バスに乗り換えて午前8時15分ごろに室堂に着く。普段は書かない登山届を書いて表にでる。ガスってはいるもののガスの流れは早く、時折り山容を見せてくれる。

午前8時30分 室堂出発

7月1日の山開きの日には四カ所位あった一ノ越までの雪渓も二カ所になり、量も随分と少なくなっていた。


午前9時17分 一ノ越到着。同20分出発

一息ついてから同20分出発。浄土山へ向かう。ガスの流れは相変わらずで雄山も見え隠れする。浄土山や竜王岳も同様だ。花も色々と咲いている。途中で笠ケ岳からずっと縦走してきたというかなり日焼けした男性と会う。


午前9時50分 浄土山(2831m)に到着

詳しくは浄土山頂ではなくて五色ケ原との分岐点に到着。竜王岳を巻いてそのまま五色ケ原へと向かう。実に30年振りに歩く。当時は10月初めの軽く雪の降った後で大学病院の仲間四人で五色ケ原山荘までの山行だった。竜王岳の下り際に五色ケ原の方がガスの間から見渡せた。遠く今日の宿の五色ケ原山荘が見える。

さて竜王岳の下りは思っていた以上に急坂である。一気に下って行く。途中テント担いだ若者が辛そうに「あれが浄土ですか?」と聞くくらいにへばっていた。五色からは何組かの高齢者夫婦らしき二人が登ってきていたが皆さんつらそうだった。この坂の登りはつらいだろう。途中の急坂でも脇には黄色、白色、紫色の花が真っ盛りである。やがて残雪のある竜王岳と鬼岳の鞍部が下にはっきりと見えだす。

四人が私と同じ方向に歩いている姿が小さく見える。大きな岩がごろごろしているのか彼らが歩くたびに下の方から岩のこすれ合うような音が聞こえる。


午前10時19分 竜王岳と鬼岳の鞍部に到着

振り返ると竜王岳の岩峰が大きくそそり立っている。一ノ越からはやさしい緩い登りを見せる浄土山だが裏に回ると竜王岳として形を変えて荒々しさを見せる。鬼岳を巻くように登山道が続く。やっかいなところにはハシゴが付いていた。途中、二カ所ほど雪の残る場所を通る。例年この季節だと結構雪が残り慎重を要する場所らしいが、今年は楽に通り抜けられた。途中に先に小さく見えた若い男性一人、若い女性二人、ご高齢男性一人の四人組が休憩をしていた。そこからは獅子岳が目の前に見えてくる。
彼らを抜いて木道が続く稜線をしばらく歩くと獅子岳への登りとなる。


午前10時52分 獅子岳の登り手前の広くなったところに到着

水分補給と捕食のため休息。バナナには速攻性のブドウ糖と持続性の炭水化物が入っており、またカリウムも豊富なので疲労回復には好都合だろうと今回は乾燥バナナを持参。どれだけ効果が有るか分からないがそれを捕食する。休憩している内に先の四人組に抜かれる。五色ケ原でテントをするらしい。


午前11時02分 出発

獅子岳への登り開始。急登ではあるがゆっくりと歩を進めると特に問題はない。時折り後ろを振り返ると今来た道や竜王岳、鬼岳、雄山が見える。先行する四人とはほどよい距離を保ちながら登る。先頭を行くご高齢男性の息遣いが荒いようだ。登り切ったところで女性の一人が「さっきから30分程度しか経ってないですけど休憩しますか」と御高齢者に声をかけて四人は休憩に入る。私はお先に失礼させてもらって直ぐ先にある山頂に向かう。



午前11時24分 獅子岳山頂(2741m)に到着

山頂に着いたものの周囲はガスってなにも見えない。一人男性が昼食を食べていた。そこからしばらくは緩やかな下り道が続く。獅子岳の稜線の東側につけられた道で、黒部川の方向が良く見えるが対岸にあるはずの後立山連山はガスに覆われている。時折り黒部湖を垣間見る程度だ。それでも周囲にはチングルマの花や様々な花盛り。一人の中年女性を追い抜く。次第にガスが濃くなっていく。やがてザラ峠へのざらざらとした歩きにくい急な下り坂が始まる。ハシゴが設置されている場所もある。前方には五色ケ原とザラ峠が見えるはずだったが濃いガスで覆われて何も見えなくなった。途中、雷鳥の親子がいた。親1羽とひな3羽で登山道にある砂地を利用して砂浴びをしている最中だった。今回はカメラの動画を利用しても撮影もする。

やさしくそこを避けるように下るがわずかに登山道の脇に逃げる程度だった。なおも登山道は下り続ける。大きなザックを担いだ若い男性三人が登ってくるのとすれ違う。きつそうだ。どこまで下るのかと思うほどの長い下りだ。


午後12時11分 ザラ峠(2348m)に到着

ここで昼食にする。珍しく自分で朝作ったおにぎりを食べる。しばらくして五色ケ原から男女4人組が降りてくる。ザラ峠の標識板の後ろの岩に干してあった靴下が彼らの中の一人のものだというので盛り上がっていた。ついさっき私は靴下入りの看板の写真を撮ったばかりだった。「靴下無しの写真を撮ってください」とその持ち主が言って彼らは去っていった。面倒なので撮り直しはしなかった。やがて先ほどの四人組みが追いついてきて休憩に入る。ご老体がかなりお疲れの様子だ。元気な女性たちとザラ峠への下りの途中でみた雷鳥の話で盛り上がる。


午後12時25分 ザラ峠を出発

五色ケ原への登りにかかる。終始ガスっていて周囲が見えないが赤茶けた岩肌が時折り進行方向の右側に見える。立山カルデラの谷合の一部がみえる。


午後12時45分 五色ケ原の端にある木道に到着

  登りきると木道が続く。周辺はガスってしまい風景は望めないが、高山植物の花盛り。やがてキャンプ場への分岐点が出る。そこを直進する登りを進むとやがてガス靄の中に五色ケ原山荘が見えてくる。

  山荘の前では男女二人がザックを担いだ男性二人と何やら話をしているのが遠くからでも聞こえてくる。私が到着する前に男性二人は先へと歩いて行った。今からだとスゴ乗越小屋に行くにしてもかなり遅い到着になるのではないだろうか。


午後1時06分 五色ケ原山荘に到着

  実に三十年振りの山荘だが、当時のことはほとんど忘れてしまっている。山荘前にはまだ男女がいたので先ほどの二人の男性のことを聞いてみると「行けるところまで行って、それから考えると言っていた」とのこと。さっそく宿泊の手続きをする。朝早く出発したいので今日中に弁当を支度してもらうのと夕食を頼んで9500円なり。部屋は2号室に案内される。6畳の部屋である。とりあえずは予約順に部屋を割り振っているようで到着時に部屋には一人だけ。早速荷物を置いて缶ビール500ccを買う。800円也。山荘前のテーブルで地図を確認しながらビールを飲む。時折りガスが晴れて近くの鷲岳(2617m)や鳶岳(2616m)が姿を現すが直ぐに隠れるという状況。立山方向もガス、後立山方向もガスに覆われている。時おり部分的にしか姿を確認できない。
  夕食は午後5時から5時45分まで。まだ時間があるので部屋で持参した本を取り出し読んだり、うとうとしながら過ごす。どうも登山客が少ない様子なので布団を部屋の真ん中に引きなおして荷物も部屋中に拡げた状態にして乾燥させることにした。そう言えば30年前もガラガラ状態であったことを思い出す。メンバーの女性が一人きりの部屋になるのが寂しいと我々男性3人だけの部屋に来て泊まったのを思い出す。
  午後4時前に突然館内放送がある。「お風呂の用意ができましたので男性の方は午後4時から30分間、女性の方は午後4時半からお願いします」。風呂があるとは予想外だったので早速風呂へ向かう。四人ほど入ると一杯になる湯船とシャワーだけの洗い場が二つ。シャンプーや石けんの利用は不可だが、ゆっくりと浸かることができてうれしい誤算だった。後で調べると確かに昔から風呂設備があることになっていた。風呂で一緒になった男性は今年は雪が少ないと聞いていたからまさか風呂に入れるとは意外だったと私とは違う意味で感激していた。
  夕飯はごくシンプルであったがそれでも主食は小さなエビフライが二本。ごはん山盛り二杯とみそ汁二杯と普段は食べない量を食べる。夜は結局、各部屋一組ずつになり私は一人で部屋を独占できた。後で聞くところによると10組12人だけだったそうだ。その中に獅子岳の稜線で追い抜いた中年女性がいたが、雷鳥平にテントを置いてきたから明日は黒部湖に下って黒部ダムから室堂へ戻ると言っていた。他にも黒部湖に降りる人もいたが、薬師岳へ行く人は都合7人だった。この夕食後あたりで立山方向が良く見えた。明日は午前4時発の予定のため早めに休む。

 

2016年7月22日(金)

  今日のコースは地図から割り出したコースタイムは10時間24分。果たして行けるのだろうか?無謀ではないか?など色々と思いつつも午前4時に出発すれば休憩なしで午後2時半には着く。途中休み休み行っても午後3時半から4時までには着くだろうという計算と場合によってはスゴ乗越小屋で一泊という手もあると算段した計画だ。


午前4時04分 五色ケ原山荘出発

  朝食準備をしていた御主人が私の出かける音を聞きつけてか、見送りにでてきた。礼を言ってから外に出ると一人自炊場で朝食の準備をしている人がいた。外はまだ薄暗くヘッドランプをつけながら木道を鳶岳へと進む。しばらく木道が続く。傾斜も緩やかなので歩きやすい。朝一の行動のためか多少息が切れるが前日の脚の筋肉疲れは残っておらず順調に行けそうな予感がする。最初はガスっていたが次第に晴れてきて剱岳、竜王岳、雄山などが黒いシルエットで見える。池塘も淡い朝日を反射していた。東の空はほのぼのと明るくなっている。後立山の山々も今朝は姿をみせていた。


 
午前4時34分 鳶岳(2616m)山頂着

  鳶岳山頂でしばし周囲の景色に見とれる。「とびやま」ではなく「とんびやま」と読むのが正解らしい。


午前4時40分 鳶岳山頂発

  しばらく緩やかな下りの道が続く。前方に越中沢岳、その右手には遠く薬師岳が姿を見せている。

  



  あそこを越えた所に今日の宿、薬師岳山荘がある。遠いなあというのが実感である。歩きやすい道をぐんぐんと高度を下げて行くが、先にある鞍部の所(おそらく越中沢乗越2356m)に赤いテントらしい人工物が見える。次のテント場はスゴ乗越だから明らかにビバーグをしているのだと知れる。やがてそのテントの所にでると中年と若者の二人の男性がいた。「昨日ここまできたものの越中沢岳の登りを見ていると急に行く気をなくしてここでビバーグすることにした」という。「三十キロ(二十キロだったか?)の荷物担いでは厳しい。水がネックだった」とぼやきとも取れる言葉も聞こえる。緩やかな登りではあるが標高差は確かにある。おそらく昨日山荘の前で「行ける所まで行ってみる」と言っていた男性二人組だろう。彼らと別れて越中沢岳の緩やかな登りを歩く。途中の樹林帯を抜けると開けた高原状の山である。山頂かと思っていたピークは手前のピークで本当のピークはその先にあった。


午前6時09分 越中沢岳(2591.4m)山頂着

  越中沢岳の山頂にて五色ケ原山荘でもらった弁当を拡げ朝食にする。焼いた鮭がやけに塩辛い。登山中の塩分補給には良いが平地では血圧に良く無さそう・・・。食べ終わる頃に一人の男性が追い付いてきた。五色ケ原で宿泊していた男性で、私が出発する際に自炊していた男性だ。このコースは薬師岳から来たことはあるが反対コースは今回が初めてだという。予定より早く着き過ぎてしまった、どうするかなという彼は見るからに健脚そうだ。少し休憩しただけで彼は先に歩いて行った。
  写真は山頂から北薬師~薬師岳方向



午前6時35分 越中沢岳山頂発

  越中沢岳からスゴの頭への登り返しまでは一気に下ることになる。先ほどの彼の説明だと一気に260mは下るのだという。本によると一番の難所とあるので予めポールはしまっておいた。確かに急坂で歩きにくいは歩きにくいが思ったほどではなかった。しかし後半が大きな岩の稜線を左側に巻いていく場所が直ぐ左側が谷へと落ち込んでいたりするので危険性という意味では慎重に行動しなければいけないところだ。やがて樹林帯に入りスゴの頭への鞍部に着く。


午前7時22分 スゴの頭手前の鞍部着&発

  越中沢岳からの下りから陽射しが出てき始めて鞍部付近は風通りも悪く、暑くて汗もやたらと出だす。後ろから人が追い付いてくる気配もある。とりあえず目の前の坂を上る。意外と急坂で小砂利の道を直登する感じで結構きつい。後から二人組の男性が徐々に追い付いてくる足音がする。今回の山行では目標と定めたところまで何とか止まらずに行けるというのが良かった。スゴの頭の登りもスローペースではあるがなんとか一気に登りきった。標高差は約100mとある。



午前7時47分 スゴの頭ピークそば着

  スゴの頭のピーク(2431m)のやや西側に出る。地図によるとピークより標高が30mほど低い場所のようだ。ピークへ行く道は無さそうなのでこの地点をピーク到達したと見なす(自分の基準)。写真はスゴの頭から越中沢岳を振り返る。
   

  後から近づいていた二人組はすぐにここで追いつかれ立ち止まることなく下っていった。もっと景色を楽しめば良いのに思うのだが・・・。来し方の越中沢岳からの下りが急峻だ。進行方向には森の中にスゴ乗越小屋が見えている。さらにここからも一気に下っていく様子が分かる。230mほどを下る計算だ。そして登り返して二段目くらいの場所に小屋がある。遠くに北薬師岳が見えるが次第に近くなってきているという実感が出てくる。

  スゴの頭からの下りも急ではあるが最初は大きなてんでの形をした岩の上を下って行く。やがて樹林帯に入る。途中、テント入りザックを担いだ男性とすれ違う。「あんたら早いねえ。この時間でここにいるんだから」と汗だくの表情で言われる。まあ、先行する三人は早いのだが、私はどうだろう? 樹林帯は低山の雰囲気で暑い。雲は晴れて陽射しが眩しいくらいだ。


午前8時19分 スゴ乗越着

  スゴ乗越はそこそこのスペースもあり休憩する。振り返ればスゴの頭の緑に覆われた山容が高く見える。スゴの頭は一気に登り、そして一気に下るという印象のある山だ。


午前8時24分 スゴ乗越発

  森林地帯の登りになる。陽射しもあるので暑く、体力を消耗していきそうな感じだ。我慢してゆっくりと登り続けると平坦な場所にでる。スゴ乗越のキャンプ場だ。そこを左に続く道をたどるとすぐに小屋がある。意外と時間がかかってしまったという印象だったが、結果はほぼ予定通りだ。


午前9時7分 スゴ乗越小屋着

  小屋の前のテーブルでは越中沢岳で話をした男性が休憩をしていた。

  丁度コンロをしまっているところだった。白米に飽きてパスタを食べていたという。雷鳥の親子が途中にいたが気が付いたかとも言われたが私には分からなかった。小屋の中からは周囲にそぐわないロックの音楽が鳴っていた。小屋の前には水の提供場もある。呼び鈴をチリンと鳴らすと若い女性が出てきた。リンゴ果汁のペットボトルを購入する。400円也。その間に無線の交信の音声が入ってきた。槍ケ岳・・遭難者・・骨折ありなど・・・山岳救助の連絡所にもなっているのだろうか。休憩中に若い男性が一人登ってきた。彼も五色ケ原山荘に宿泊していた男性だ。確か薬師岳山荘までいくかどうか迷っていると言っていた男性だ。入れ替わりに先行していた男性が出発した。スゴの頭で追い抜いて行った二人組は影も形も無かった。足の状態も良く、また体の疲弊もそれほどない。そして午前9時過ぎにここまで来た以上、この小屋に泊まるという選択肢は消えた。


午前9時30分 スゴ乗越小屋発

  若者に先行して出発。しばらく樹林帯を歩くがやがて回りに高木はなくなり高山の雰囲気が漂い始める。稜線を左手に見て、這い松の中に付けられた登山道を緩やかに登って行く。その頃には再びガスがかかり始めて遠景は全く望めない状態となってきた。やがて、それなりの大きさの池が見える地点にくる。地図では間山池と載っているからそれだろう。そして間山への登山道はぐっと傾斜を上げていく。しかし登りやすい道が続く。周囲はガスってなにも見えない状態が続く。


午前10時40分 間山(2585.2m)山頂着

  間山山頂は主登山道から少し外れた西側にある。周囲はガスっており景色を望むべくもない。どのような風景が見られるのだろう。目の前に北薬師岳が大きいのだろうと想像する。ここでもしばし休憩をとる。ともかく長丁場なので水分補給や捕食に心がける山行である。ややあって先ほどの若者が追い付いてきて休憩をとる。登山道の確認をしあって、私が先に出立する。


午前10時50分 間山山頂発

  ここからも緩やかな歩きやすい稜線の登りが続くが、ガスって周囲の景色は相変わらずのぞめない。間山からあまり下った感じがしなかったので間山は恐らく稜線の一つのこぶのような山頂なのかもしれない。しばらくして鳥の鳴き声がする。雷鳥の親子がまた居た。今度はひなが2羽だった。これまで見た中では個体としては少し大きく感じた。ひなも元は倍以上の数がいたのだろうが、ここまで成長する過程で烏や他の動物に襲われてしまったのかもしれない。行く手のガスの中から赤茶けたピークが先に見える。北薬師岳から連なる稜線の中の1ピークだろう。少し斜度も増してくる。道に岩も混じり出してくる。途中、後ろから次第に追い付いてきた若者に道を譲る。時折りガスが晴れて薬師岳の東南尾根方向が見える。しばらく行くと二重稜線になった間に残雪がありそこの右側にある登山道を登りさらに左側に移り岩場の急登となる。いくつか急登を繰り返し、また岩場渡りを繰り返す。時々、ガスが移動して目の前に北薬師岳が姿を現す。

  思った以上に北薬師は遠い。ここまでくると何組かの登山者とすれ違うようになる。早朝、折立を立ってスゴ乗越小屋へ行く人達だろう。


午後12時37分 北薬師岳(2900m)山頂着

  北薬師岳山頂にはやっと到着した感が強かった。それにしても以前に北薬師岳の山頂に来た時とイメージが異なっていた。山頂には黒部川に向かって間山行きの看板があったはずなのだが、今回は逆の方向から山頂へ到着する。どうやら元あった登山道は崩落したみたいで崖となっていた。ともかく持参したパンで軽く昼食をとる。今回は途中、捕食やなんやで結構口にいれながら歩いているので昼食も軽くて済んだ。


午後12時47分 北薬師岳山頂発

北薬師岳山頂からは以前にも来たことがあるので気持ち的には随分と楽になる。しかし意外と細い岩場の稜線なので結構慎重にならないといけない場所がある。特に北薬師岳近くの稜線は要注意だ。ポールは再び仕舞い込んで薬師岳への稜線を進む。短くて一か所だけだが匍匐して行く場所を通る。私がビビりだからだろうが、ここは怖い。眼下には薬師岳のカールが広い。


そして我慢の登りを経て薬師岳山頂へと出る。


午後1時45分 薬師岳(2926m)山頂着

  薬師岳山頂直下の登りの途中ではしっかりと見えていた北薬師岳だったが山頂につくとガスに覆われてしまいその姿を撮り損ねてしまう。山頂には途中で私を抜いて行った若者がまだ後立山連峰などの風景に見入っていた。

  10分程度そこにいて薬師岳山荘へと向かう。早くビールが飲みたい。


午後1時55分 薬師岳山頂発


午後2時32分 薬師岳山荘(2701m)

  長い行程も無事に終了してホッとする。全行程は10時間28分だった。コースタイムは10時間24分だったから休憩時間も考慮に入れると予定より早かったと言える。ここは五色ケ原山荘と異なり、やたらと多くの登山客が受付を待っていた。おまけに団体さんもいたため大部屋に結構な人数を回されてしまう。私や先行していた二人組と一人の男性は予約をしていたので予め布団の場所も指定されていた。さっきの若者は予約なしのため予約なし部屋になっていたようだ。彼は今日はスゴ乗越小屋、明日は太郎平小屋の予約を入れていたらしくバスも日曜日、東京へ帰る夜行バスも日曜日にしていたようで、急きょ色々と変更の必要がでてきたというので、折立から富山駅行きのバスの予約もとらねばならないという話になった。私は折立からのバスは予約は不要だと思っていたので彼に言って私の分もついでに取ってもらうことにした。電話はドコモしかつながらないため山小屋のおかみさんの携帯を借りて連絡。無事に予約もとれて二人100円ずつ負担して携帯をお返しする。先行していた二人組ともう一人は小屋にはほぼ同時に到着して午後十二時半には着いていたという。二人組は五色ケ原で朝食を食べてからだから午前五時過ぎ、もう一人は自炊してからだから午前4時半頃には出ているわけだから、私より2時間以上も早いペースで歩いていたことになる。朝夕一泊で9200円(五色より300円安い)。ビール350ccは700円(これは五色より高い)で買ってくつろぐ。夕食は午後5時から。とんかつ、やくし文字の入ったいつものオムレツなどで五色と比べると華やか。しかし体力消耗のせいか食欲は少なく、ごはんも味噌汁も一杯ずつ。熱いお茶ばかりをお替わりして飲んだ。さすがに疲れている。

 

2016年7月23日(土)

  山小屋泊まりの大部屋はいつものことながら寝たのか寝てないのか分からないうちに寝てしまっている。午前3時半過ぎには周りの騒々しさで目がさめる。ご来光を見るというので部屋の中も半数以上がいなくなり、団体さんもこぞって出かけて行き一気に静かになる。朝食は午前5時から7時までの間で随時となっている。五色から一緒だった一人は10時20分折立発のバスに乗り今日は富山まで行き富山でうまい魚を食べてホテルに一泊してから明日東京へ帰るという。早出するという五色組の三人と5時に朝食を食べる。朝食に必ず出てくる氷見のみりん干しが今回もでていた。彼らと別れてから少し時間をおいて私もゆっくりと下山にかかる。とにかく12時折立発のバスにさえ乗れればよいのだ。


午前5時30分 薬師岳山荘発

  早朝はガスっていたがすっかりととれて周囲が見渡せる。薬師岳が再びガスり始めていたが。太郎平小屋に泊まっていた人たちだろう。何組かとすれ違う。昨日の10時間を超える行動だったが足への負担はなく軽快に歩けるのが不思議なくらいだった。ゆっくりペースで歩いたのが良かったのだろうが、あれ以上のスピードで歩けるはずもない。

午前6時04分 薬師平着

  大きなケルンのあるところ。槍ヶ岳が見通せる。早く折立に着いてもしかたないと小休憩。




午前6時14分 薬師平発

  薬師平から間もなく多くのグループ登山者たちとすれ違う。沢の急坂の所の水量は普段より多かった。この時期、まだ雪解け水の量が多いのだろう。


午前6時40分 薬師峠着

  テント場にはまだ数張りのテントがあった。水場に行き、豊富に出ている水で顔や腕などを洗う。しばらく手を付けると痛いほど冷たい水だ。薬師岳山荘は天水対応のため十分な水が使えなかったのでほっとする。ペットボトルの水も入れ替える。


午前6時50分 薬師峠発

  本日の登りの最大と言ってよいだろう。太郎平への登りだ。やがて木道となり平坦な道を行く。今回の山行を思い起こしながらゆっくりとゆっくりと歩く。景色は上々。

午前7時11分 太郎平小屋前着

  私が着いた時は誰も小屋前の広場にいなかった。小屋の中から後片付けの音が聞こえる。宿泊客はもういないのだろう。ベンチに座り廻りの景色を見ながら、そして地図を見直しながらゆったりと過ごす。明らかな時間調整である。やがて薬師岳から下山してくる人たちも増える。また折立方面からも一人二人くる。おそらく折立で前泊していたのだろう。


午前7時44分 太郎平小屋前発

  しばらく見通しのよい緩やかな登山道を下っているうちに何人かの登りの人に会う。この時間帯でこの位置ですれ違う人はまだ前泊の人達だと思われる。午前6時開門で早めに折立に着いても午前6時40分ごろから出発。どんなに早い人でも2時間少しはかかるとして1時間は早い。


午前8時24分 五光岩ベンチ着

  時間調整のため休憩。目の前の谷を挟んで草木に覆われた大岩が見える。また薬師岳が大きく見えて今朝出発した薬師岳山荘も小さく見えている。すると第一班と称する中高年のグループが現われる。十数人はいる。薬師岳山荘に泊まるのだという。やがて第二班という第一班より少し人数の多い班が到着する。入れ替わりに第一班は出発。今夜の薬師岳山荘はごった返すことだろう。あの年齢層でかつ多人数で朝一発でここまで来るのは無理だろう。前泊でもしたのだろうか。ベンチも一杯になってきたので私も出発することにする。


午前8時36分 五光岩ベンチ発

  ひたすら下る。やがて朝一到着組らしき登山者が次々と登ってくる。やはり土日にかけて山に入る人が多いようだ。


午前9時34分 三角点ベンチ着

  私が着くと一組のみ。老夫婦らしい一組が到着して入れ替わるように最初の一組は太郎へと向かう。周辺がガスで覆われすでに遠景は見えなくなっている。ここでも時間調整のため休息。一人の登り登山者が加わる。もうピークは過ぎたのかもしれない。


午前9時52分 三角点ベンチ発

  折立への森の中の急坂を下る。結構登ってくる人もいる。10時20分折立発のバスがあるのだからそれに乗ってくる人たちが登ってもくるはずだ。かなり前には着いているはずだから、その人たちかもしれない。


午前10時45分 折立着

  バスの発車時刻まで1時間15分もあるのに折立に到着した。まず休憩小屋裏にある水場で顔や腕を洗う。トイレを済ませてから自動販売機で薬師岳下山の毎度恒例のファンタグレープを買って飲む。時間つぶしを本読みで過ごす。11時15分頃にバスが到着する。数人の登山者が降りてきて準備ができた人から登山道へと入って行った。30分過ぎにバスに乗らしてもらう。「予約していた〇〇です(予約番号0722-84141)」というとリストを見ながら有峰口までで2450円になりますという。

  そのリストを見ると予約者はほんの5名ほど。ガラガラだったわけで、少なくとも今回の場合は予約は必要なかった。金を払って切符をもらうが降車時には回収される。バスの中で待っていたが予約なしの人も含めて数人が乗っただけで出発。間に合わなかった人もいたようだ。有峰記念館、有峰ダムのバス停に乗降者もいないが止り、時間調整をしてから有峰線を下る。料金所を抜けて亀谷温泉に着くと7名ほどの登山装備をした人たちが乗ってきた。3分ほどで有峰口に到着。午後12時49分(途中工事待ちなどもあり1分遅延)だった。地鉄の有峰口駅への道筋を教えてもらって下車。脇道を通り階段を登ってすぐ駅が見える。かつて地鉄駅巡りをした時のままだ。旧小見駅の表示の「小□驛」もそのままに残っている。

  立山駅行きは私の調べでは午後1時11分発だったが、実はそれは平日用だった。土日は午後1時26分発だったので、駅周囲の写真などを撮ったり、トイレに行ったり、古びた駅を堪能する。定刻通りの電車に乗る。次駅の本宮を過ぎると森の中の路線を走る。線路脇の木々から延びる枝の葉が車窓にぶつかる。鬱蒼とした森が電車に迫ってくる。やがて旧駅の芦峅寺駅跡を過ぎる。以前歩いてここまで来たがこの季節は背の高い雑草で覆われホームすら分からない。もう一つの旧駅の粟巣野駅跡も雑草に覆われてホームが分からない。夏場は旧駅はそれと区別がつかない状態になっている。やがて立山駅に到着。午後1時39分ごろだった。運賃は410円。立山駅の食堂でソフトクリーム(350円)を食べてから車の置いてある駐車場へ向かった。

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